小規模企業の経営改善は何から始める?原因把握から実行までの進め方

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業績の悪化だけでなく、経営環境の変化に応じて、経営改善が必要になることがあります。

とはいえ、小規模企業における経営改善は、大々的に経営計画を整備し、大きな予算をかけて実行するものでもありません。

小規模ゆえの機動性を活かして、「原因の把握から実行までの期間を短くし、結果を確認しながら小刻みに対応すること」が基本となります。

この記事では、小規模企業が経営改善に取り組むときの順番と、改善策を実行に移す際の考え方を解説します。

経営改善は何から始める?

「経営改善」というと仰々しいですが、小規模な企業では、会社の状況が苦しくなってから行うものとは限りません。

売上や利益率、キャッシュなどの「変化の兆し」を早めに把握し、問題が大きくなる前に「先手で」対応するのが小規模な企業の経営改善です。

基本的な順番は、次のとおりです。

  1. 数字から変化を見つける
  2. 変化が生じた原因を考える
  3. 対応策を決める
  4. できるだけ早く実行する
  5. 実行後の数字を確認する
  6. 必要に応じて再調整する

特別に難しい手法ではありませんが、忙しいからと「対応を先送りにしない」ことが実はポイントです。

まずは数字から原因を把握する

まずは現状把握です。

2〜3か月ごとに試算表を確認し、売上だけでなく、利益率、人件費、固定費、キャッシュなどの変動を追いかけます。

試算表を見比べたり、推移が捉えやすいよう複数月の試算表を並べた推移表を作成すると、数字の変化を把握しやすくなります。

粗利益率が下がっている

売上が変わっていないのに利益が減っている場合は、粗利益率(売上総利益率)が下がっている場合があります。

原材料や商品の仕入価格(≒売上原価)が上がっているにもかかわらず、販売価格を据え置いていれば、利益を圧迫してしまいます。

経済環境の変化により、商品やサービスごとの採算が(想定よりも早く)変わっていることもあります。

そのため、売上と原価の関係は常に適切なのかを「見張って」おくことが重要です。

人件費率が上がっている

人件費の総額ももちろん重要ですが、売上や粗利益に対する人件費の割合も確認したいところです。

自社にとっての適切な人件費率等は、業種業態で異なりますが、上昇して利益を圧迫している場合には原因を考える必要があります。

人件費率が上がる原因は、単に給与水準が高いことだけではありません。売上の減少、業務量と人員配置の不一致、残業の増加、生産性の低下など、さまざまな原因が考えられます。

新規採用の抑制、勤務時間や担当業務の調整、配置転換、外注との分担、不採算な仕事の整理、場合によっては人員の整理まで含めて検討します。

固定費の負担が重くなっている

地代家賃、広告費、会費、リース料、システム利用料などは、一度契約すると見直す機会が少なくなりがちです。

利用しているならまだしも、契約当初は利用していたが、いまは活用しておらず、惰性で払っているケースも見受けられます。

不採算な店舗や事業についても同様です。

撤退ラインを決めずに赤字を放置すると、利益の出ている事業で得た資金まで失うことになるため、定期的に見直すことが重要です。

数字を早く確認できる経理体制をつくる

原因を把握できても、遅すぎると対応が役に立たないため、自社の状況は2,3ヶ月ごとには把握したいものです。

決算や確定申告のときだけしか数字を確認しないと、対応も遅れるし、その効果検証もできません。

数値を適切なタイミングで把握するためには、自社で日々の経理を行う自計化が有効です。

ただし、自計化そのものが目的ではなく速報性と正確性を両立し、経営判断に活かすことが目的です。

ですから、自計化に拘らなくても、記帳代行や税理士などによる定期的な確認も活用を視野に入れると良いでしょう。

原因を把握しても実行しなければ改善しない

実行のフェーズがもっとも難しいのは、心理的なハードルが高いケースが多いためです。

たとえば、次のようなケースです。

  • 値上げが必要だと分かっているが、顧客が離れるのが不安
  • 人件費が重いが、従業員との関係を考えて見直せない
  • 不採算な店舗や事業を、いつか回復するかもしれないと続ける
  • 固定費を見直したいが、日々の仕事が忙しく後回しになる
  • 完璧な改善計画を作ろうとして、実行まで進まない

心理的には実行しづらい面もありますが、数字に出ているのであれば、対応を先延ばしにはできません。

その間も、原価、人件費、家賃などの支払いは続きます。対応が後手を踏んだ分だけ、その負担を会社が負うこととなります。

改善策は小さく実行する

実行のハードルが高く、実行しづらいケースでは対応・改善策を細かく分解して行うのも有効です。

たとえば、次のような対応が考えられます。

  • 価格の全面見直しでなく採算の悪い商品やサービスから先行して見直す
  • 価格交渉に加えて仕様・スペックの変更も交渉する
  • 使っていない会費やサービスを解約する
  • 広告費の一部を止める、頻度を下げて効果を検証する
  • 仕入量や在庫量を調整する
  • 従業員の担当業務や勤務時間を見直す
  • 不採算事業に改善期限を設ける

まずは小さくても「実行」することを優先します。

実行後は、売上、利益率、人件費率、手元資金などがどのように変化したかを確認します。

期待した効果が出なければ、より踏み込んだりやめたり再調整すれば良いのです。

変更の余白を残す

改善策が、必ずしもすべてうまくいくとは限りません。効果が限定的で、追加の対応が必要になることもあります。

たとえば、値上げに合わせてメニュー表を作り直したものの、その後さらに値上げが必要になったケースです。メニュー表の作成にコストをかけすぎると、「作り直すのはもったいない」と考え、追加の値上げが遅れることがあります。

極端な例に見えますが、最初の対応にコストや手間をかけすぎたため、その後の変更が難しくなるケースは珍しくありません。

そのため、改善策を実行するときは、一つの方法に固執せず、後から柔軟に変更できる余白を残しておくことも重要です。

小規模な企業は小回りの良さを生かす

小規模な企業の強みは機動性と柔軟性にあります。そして弱みはリソースが限られていることです。

そのため、問題が大きくなる前に小さいうちに早めに対応する。

対応がうまくいかなければ、その方法に固執せず別の対応に切り替える。

小規模企業は意思決定に関わる人が少なく、大企業と比べて対応を早めやすいという特徴があります。

そのため、早めに対応でき、柔軟に対応を変えやすいです。

問題が大きくなる前に、早めに柔軟に対応することで、限られたリソースを守り、有効に活用することに繋がります。

まとめ:原因把握から実行までを短くする

中小企業の経営改善は、まず会社の数字から変化の原因を把握することから始まります。

ただし、原因を把握しただけでは、利益や資金繰りは改善しません。

対応策を決め、実行し、その後の数字を確認するところまでが経営改善です。

そして、一度に成果が出るとも限らず、大きく行おうとすると実行のハードルが上がるため、余白を残しながら、早めに柔軟に対応します。

問題が大きくなってからでは、実行できる改善策が限られ、柔軟に対応する余裕も失われます。普段から変化の兆しを捉え、先手で対応する意識が大切です。

この問題は、資金繰り、融資、経理体制とも関係します。

資金繰り・経営・融資・経理の全体的な関係については、次の記事で整理しています。

佐野税理士事務所では、小規模企業向けに、税務申告だけでなく、日々の経理、納税見込み、資金繰り、融資を含めた経営数字の整理をサポートしています。

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この記事を書いた人
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税理士・佐野匡司
大阪の小さな事務所を運営する現役税理士。
官報合格(試験合格)+実務経験15年以上。
中小企業オーナーや資産形成を志す個人(特に共働き夫婦・パワーカップル)に向けて、
「リスクを抑えたお金の戦略」を発信中。

保険・投資・不動産などの販売とは無縁の独立系の立場から、
中立的で実務に根ざした情報をお届けします。

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