棚卸資産とは、いわゆる「在庫」のことで、完成品や未完成品の別・物品販売や製造の別によって、商品・製品、仕掛品、原材料などの勘定科目を含む総称です。
決算時に、実際に保有している在庫の数量や金額、状態などを確認することを棚卸といいます。
棚卸は決算の数字を確定するためだけの作業ではありません。売れずに残っている商品や、在庫に使っている資金を確認する機会でもあります。

期末の在庫を確認し、棚卸表を残す
決算においては、売上に対する原価を算定することで利益を計算します。
そのために、商品を多く仕入れても、売れ残っていれば在庫として計上しなければなりません。
具体的には、期末の在庫を確認し、品目・数量・金額が分かる棚卸表を作成します。決算書に「商品」等の合計額を載せるだけでなく、その金額をどう集計したのか内訳が分かる資料も残しておきます。
税理士に決算を依頼していても、現場にどの商品がいくつ残っているかは、会社が確認しなければ分かりません。
棚卸高が変わると、決算の利益も変わる
商品の売上原価は、基本的に次のように計算します。
期首の在庫+当期の仕入-期末の在庫=売上原価
ほかの条件が同じなら、期末の在庫が多いほど当期の売上原価は少なくなり、利益は増えます。
ただし、在庫が増えると、まだ回収できていないお金が増えている状態ともいえるため、事業を運営するための資金(運転資金)がより多く必要となります。
また、毎月の実地棚卸しが難しい会社では、原価率などを使って月次の売上原価や在庫を概算することもあります。
ただし、それは利益の見通しを立てるための暫定的な数字です。決算では実際の在庫を確認し、破損や長期滞留などがあれば、その状態も記録したうえで棚卸高を確定します。
販売機会と、在庫に使う資金の両方を見る
販売を担当する人にとって、在庫切れは注文を逃す原因になります。そのため、ある程度の商品を手元に置いておきたいと考えるのは自然です。
一方、経理や資金繰りの面から見れば、在庫が増えるほど仕入れに使ったお金の回収は遅れます。保管場所も必要になり、長く売れなければ値引きや処分を検討することにもなります。
どちらか一方が正しいという話ではなく、その時々に応じたバランスを考えながら、在庫を調整していくほかありません。
在庫が適正かどうかは、推移と中身で判断する
その会社にとっての「適切な」在庫はどのくらいか?を考えることは、先述の理由からも難しいです。
とはいえ、ある程度の範囲内でのおおまかな目安は過去数年間の決算書から見えてきます。
過去数期の期末在庫を並べ、売上の増減と併せて見ます。売上の拡大に伴って在庫が増えたのか、売上が伸びないまま在庫だけが積み上がっているのかでは、意味が異なります。
合計額の推移だけでも十分ではありません。棚卸表を前年のものと見比べ、同じ商品が残り続けていないか確認します。いわゆる「根雪在庫」です。同じ品目が載っていても継続的に売れて補充している場合はあるため、気になる商品は販売履歴や今後の販売見込みも確かめます。
月次の在庫を概算している会社では、試算表の「商品」残高だけを並べても、実際の在庫の推移とは限りません。根雪在庫を探すには、棚卸表や商品ごとの記録を見る必要があります。
過剰に在庫を持つと、資金繰りを圧迫するため定期的に在庫を確認しながら、適切な水準を探っていくことが重要です。


